江川なつる様による短編小説『メインとおまけ』(ガールズラブ要素あり)をお届けします!!

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江川なつる様による短編小説『メインとおまけ』(ガールズラブ要素あり)をお届けします!!

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 短編小説 「メインとおまけ」

SS作者:江川なつる様

メインとおまけのアイキャッチ画像です

奈央なお
牡丹大好きっ子
女子高生
ギャル
可愛いもの好き

牡丹ぼたん
京女
ツンデレ
転校生
美人

奈央はギャルである。
本人にそのつもりはなくても、好きなものを着て、好きなものを持っている内にそう呼ばれるようになった。
奈央自身はギャルと呼ばれることに嫌な感情も良い感情も持っていない。
呼びたいなら、そう呼べばいい。ずっとそう思っていた。
冬の寒い時期に入り、マフラーが手放せない時期になった。
お気に入りの淡いピンクの色のそれを首に巻いてバスを降りる。
すると嬉しい後ろ姿が見えた。

「ぼたんー、おはよー!」
「おはようさん、朝から元気やね」

駆け寄って挨拶をする。
奈央とは全く違う言葉の響き方が優しい。
ぼたんは今年の春に京都から奈央の高校に転校してきた子だった。

「ぼたんは今日も可愛いね!」
「……おおきに」

黒い髪が奈央と同じ制服の背中を流れていく。
少し茶色い奈央とは正反対の「カラスの濡れ羽色」をした美しい髪の毛だ。
この表現は周りの友達がしているのを聞いてから使っている。
ぼたんの髪を表現するのに、ちょうどいい綺麗な響きだったからだ

京都出身だからなのか、ぼたんの感情表現はわかりにくい。
奈央にとってはそんなこともないのだが、周りのクラスメイトからは変化が見分けられないらしい。
それを聞くたびに不思議だなぁと思う。
奈央がこうやって褒めるたび、ぼたんはその白い肌を赤く染める。
元々色白だからか、その変化は非常にわかりやすい。
今だって隣を歩いているだけで、奈央とは違うきちんと巻かれたマフラーから覗く耳が赤くなっている。

「ぼたんを見てるだけで癒やされるよー」
「ちょい、静かにしい」

こういう素直じゃないところも可愛い。
奈央から顔を逸らすようにすると少しだけぼたんの良い匂いがして奈央は一人頬を緩めた。
朝、奈央がバスから降りるのを待っていてくれるのも。
何だかんだで毎日一緒にいてくれるのも。
それを全部偶然ですまそうとしているのも。
全部、可愛い。
奈緒はご機嫌に学校までの道を進んだ。

「やっと、お昼だー……」
「奈央、気ぃ抜きすぎや」

午前中の終了を示すチャイムが鳴って、そのまま机に寝そべる。
弁当を片手に近くに来ていたぼたんから辛辣な言葉が投げかけられた。
毎日同じように注意されるので、少しも気にならない。
奈央とは正反対にぼたんは学校でも外でも決して気を抜かない。
いつでも背筋に何か入っているのかと思うくらい姿勢よく前を向いている。
それはこの何処にでもある高校では少し浮いて、それがさらにぼたんの綺麗さを引き出している。

「奈央、今日はどこいくの?」
「うーん、屋上は寒いから、どっかの教室かなぁ」
「はいはーい、いってらー」

友人たちから聞かれる言葉に軽く返事をしつつ、自分の弁当を持ってぼたんと移動する。
奈央がぼたんと2人でご飯を食べるのは週に何回かあって、その時は二人きりにしてもらうのが暗黙の了解になっていた。
誰も奈央のようにぼたんに近づくことはできず、その綺麗な姿を遠巻きに見るだけだ。
たまに話しやすい奈央にぼたんについて聞く人もいたが、一緒に入ろうとする人はいない。
ぼたんはこんなに可愛いのに皆損していると奈央は思った。同時に独り占めできていることに嬉しさも感じていた。

「……奈央」

人がいなくなると、ぼたんの態度は少し柔らかくなる。
視線を合わせないように顔を俯けたまま、指先で奈央の袖だけを引く。
そんな男の子にやったら百発百中の仕草を奈央にだけしてくれるのだから可愛くて仕方ない。
たまに友達に自慢したくてしょうがない時もある。
でもぼたんが怒るので基本的にはしない。

「はーい。さっさと食べてイチャイチャしよう!」
「なっ、なに、言うてんの」

適当な空き教室に入る。
ここに昼の時間人が近寄らないのは調査済みだ。
サボり魔である奈央は自分の学校のどこに人がいないのか、他の生徒より正確に把握していた。

「ほら、座って?」
「おおきに」

一番綺麗にしている椅子の座面を払ってぼたんに差し出す。
自分の分の椅子は引っ張ってきてぼたんの隣に置いた。
隣り合って座るのは、その方が話が捗るから。
最初は対面で座っていたのだけれど、それだと奈央がぼたんを見すぎて食事を忘れてしまう自体が頻発した。
ぼたんもじっと見られているのは心地悪いらしく、隣同士が定着したのだ。

「ねぇ、ぼたん」

でも、この席順には致命的な欠点がある。
それも開始して早々に分かっていたのだが、改善される見込みはない。
奈央もぼたんさえも嫌がっていないのだから治るわけがないのだ。

「なんや――」
「ごめんね、つまみ食い」

名前を呼べば素直にこちらを振り向くぼたんの頬に手を寄せる。
白くてきめ細やかな肌は化粧もしていないのにツヤツヤしている。
見ているだけで食べたくなる代物だ。
その上、こちらを見上げてくる瞳はぱっちり二重の切れ長な形で、自分がそこに映っているだけで嬉しくなる。
何より――。

「んっ、ちょ……まぁ、って」
「やぁだ」

唇を寄せれば寄せるほど、その白い肌が赤く染まるのが。
黒く澄んだ瞳が、段々と水の膜に覆われていくのが。
柔らかい唇の端から吐息が溢れていくのが。
奈央にはたまらないごちそうだった。
奈央ことを素直に教えてくれないぼたんは、二人きりのときだけ、誰よりも素直になってくれる。
それを知ってから、奈央はこうやってぼたんを食べることが癖になっていた。

「奈央、また、ご飯食べる時間が短くなってもうたやん」
「んー、ぼたんが可愛いから、しょうがないよねー」

結局お昼ごはんは、奈央がぼたんを堪能したあと急いで2人の胃に運ばれることになる。
奈央のそこらで買ったコンビニのパンも、ぼたんのきっちり作られた和食弁当も結末は一緒だ。
奈央にとっては、昼ごはんはぼたんメインであり、パンはおまけに過ぎない。
ただぼたんにまで同じ生活をさせるわけにもいかないので、ぎりぎり食べれるところでメインを終わりにする。
それでもぼたんは時間が短いと言うのだが、奈央がメインの時間を減らすと不安そうに見てくるのも知っていた。
つまりぼたんも、メインは奈央なのだ。お弁当はおまけで。

「……もうえぇ」
「ありがとう、大好きだよ」
「知っとるえ」

呆れたように告げられる言葉は照れ隠しに過ぎず。
奈央は満足した顔で牡丹に告げた。
そうしたら、やっぱり赤い顔をしたぼたんが嬉しそうに笑ったので、奈央はまたつまみ食い・・・・・がしたくなってしまうのだった。

end

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イラストレーター シグ子さんのフリーイラスト等を改変して作ったイメージ画像です。自作ではありません。権利関係がややこしくなるので転載したり、二次利用はご遠慮ください。
イラストAC シグ子様

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